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新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』
(PDF 32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳

日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
(PDF 12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳

パワーポイント資料は、こちら。

zoom RSS 公認会計士高田直芳:繁忙期は善で閑散期は悪なのか

<<   作成日時 : 2015/11/07 01:00   >>

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繁忙期は「善」で
閑散期は「悪」なのか

『高田直芳の実践会計講座 原価計算』
補足説明



来月は師走。
多くの企業で、クリスマス商戦や年末商戦という繁忙期を迎えることでしょう。

ということで、企業経営者から実務担当者に至るまで、私から質問です。
繁忙期は、貴社にとって「善」なのでしょうか、「悪」なのでしょうか。

おそらく、全員が「何をバカな質問を。繁忙期は『善』に決まっているではないか!」と答えるはず。

確かに、11月までの販売不振を、12月で一気に挽回したい、ということなのでしょう。

クリスマスやら、お歳暮やら、大晦日やらが重なって、12月の1か月間で、年間売上高の2割も3割も稼ぐ企業もあることでしょう。

繁忙期は「善」であるに決まっています。
「嬉しい悲鳴」というのは、繁忙期を「善」と捉える人たちの慣用句です。

しかし、ちょっと待って欲しい。

師走を迎える前に、冷静になって考えて欲しいことがあります。
繁忙期は本当に「善」なのかと。


例えば、春夏秋冬の四季を通して、ずっと繁忙期の企業があると仮定します。
実に羨ましい企業ですが、その企業は、年間を通して、繁忙期を「善」だと考えているのでしょうか。

そうではないはず。

もし、年間を通して繁忙期が等しく続いているのであれば、その状態は「悪」であり、それを改善するために、その企業は設備や人員を増強するはずです。


次に、例えば春夏秋冬の四季を通して、ずっと閑散期の企業があると仮定します。
その企業は、年間を通して、閑散期を「悪」のまま放置しておくでしょうか。

そうではないはず。

もし、年間を通して閑散期が等しく続いているのであれば、その企業はリストラに取り組むはずです。


以上の例から明らかなことは、繁忙期や閑散期には、それを改善しようとするインセンティブが働くことです。

では、なぜ、春夏秋冬の四季を通じて繁忙期と閑散期とに見舞われる企業では、それを改善しようとするインセンティブが働かず、繁忙期には喜び、閑散期には嘆くことを、毎年のように繰り返すのでしょうか。


今から3か月ほど前、鹿児島県知事が「高校教育で女子に(三角関数の)サイン、コサイン、タンジェントを教えて何になるのか」(日本経済新聞、2015年8月29日付)と発言して、物議を醸したことがありました。

その是非はともかく、なぜ、正弦曲線(サインカーブ)や余弦曲線(コサインカーブ)が描かれるのかを、考えてみてください。
答えは簡単です。

山があるから谷があるのであり、谷があるから山があるのです。
ずっと山のまま(または谷のまま)では、正弦曲線も、余弦曲線も描かれません。


春夏秋冬の四季を通して、ずっと山(繁忙期)がある場合、谷(閑散期)が現われることはないのです。
また、ずっと谷(閑散期)がある場合、山(繁忙期)が現われることもないのです。

山(繁忙期)があるから、その反射的な効果として、谷(閑散期)があるのです。
谷(閑散期)があるから、その反射的な効果として、山(繁忙期)があるのです。


そうなると、繁忙期が「善」で、閑散期が「悪」という価値判断は誤りであることがわかります。

本当の「悪玉」は、1年間で、繁忙期と閑散期を繰り返すビジネスモデルそのものにあります。

そのビジネスモデルを改善するために、あなたの企業は、設備や人員を増強したり、リストラを断行したりするのではないですか。

毎年のように繁忙期と閑散期を繰り返すビジネスモデルを放置していることが、「悪」なのではないですか。

閑散期だけを「悪者扱い」にするのは誤りです。


ところが、です。
現在のコスト計算やコスト管理は、繁忙期を「善」、閑散期を「悪」として構築されています。

その証拠に、実際操業度が予算操業度を下回ると「不利差異」とし、実際操業度が予算操業度を上回ると「有利差異」と扱っています。

次の【資料1】は、コスト計算やコスト管理で扱われる図表に共通した本質を描いたものです。
【資料1】
画像

上記【資料1】では、繁忙期を善(橙色の有利差異)、閑散期を悪(水色の不利差異)としています。

あなたの企業で使用している原価計算システムや管理会計システムでは、【資料1】の横軸上にある点Hより左側では不利差異となり、右側では有利差異となっていませんか。

そういう価値判断は誤りです。


1年間の中で繁忙期と閑散期を繰り返すビジネスモデルそのものが「悪」だとするならば、閑散期だけでなく繁忙期の原価差異も、等しく不利差異とすべきです。

その発想で描いたのが、次の【資料2】に示す「タカダ式変動予算」です。
【資料2】
画像


上記【資料2】は、次の受賞論文からの抜粋です。
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF 32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳

国立国会図書館所蔵の論稿集は、こちら。
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF 12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

上記【資料2】では、閑散期の原価差異を「遊休差異」という不利差異として扱い、繁忙期の原価差異を「過重差異」というこれまた不利差異として扱っています。

タカダ式変動予算では、閑散期も繁忙期も、不利差異を発生させる仕組みです。

そして、繁忙期と閑散期をならそうと努力しない企業経営者の怠慢を問うために開発したのが、次のシステムです。

繁忙期の原価差異を有利差異として扱う「原価計算論・管理会計論」や「原価計算システム・管理会計システム」には、重大な瑕疵があると断言します。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕

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