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新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』
(PDF 32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳

日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
(PDF 12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳

パワーポイント資料は、こちら。

zoom RSS 公認会計士高田直芳:なぜ不適切な会計処理が行なわれるのか

<<   作成日時 : 2015/05/16 01:00   >>

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なぜ「不適切な会計処理」が行なわれるのか


今回は、次の関連ブログの続編です。
【関連ブログ】

2015年4月に、東芝の「不適切な会計処理」問題が登場してから、「不適切な会計処理」が今年の流行語大賞になるのではないか、という勢いがあります。
それは別に、どうでもいい話。

「工事進行基準・悪玉論」も唱えられていますが、工事完成基準に戻したところで、「不適切な会計処理」が根絶されるわけではありません。

重要なのは、「なぜ、不適切な会計処理が行なわれるのか」にあります。

会計の世界では、“know how”を語る人は掃いて捨てるほどいますが、“know why”を語る人が皆無なのが残念です。


まず、2015年5月16日付の日本経済新聞では、東芝社長による次の発言が掲載されていました。
【資料1】日本経済新聞2015年5月16日

「予算達成目標の位置づけが高く、内部統制が十分に機能しなかった可能性がある」(東芝 田中久雄社長)


東芝社長のいう予算が、売上高のみであったならば、「不適切な会計処理」が行なわれる確率は低かったでしょう。

売上値引きをがんがん行なえば、売上高の必達など容易ですから。


問題は、売上高からコストを差し引いた後の「利益」にあります。
この「利益の管理方法」について、上場企業の経営者は全員、次の【資料2】で理解しています。
【資料2】CVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析・線形回帰分析)
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上記【資料2】に基づいて展開される理論をCVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析・線形回帰分析)といい、管理会計・経営分析の教科書やビジネススクールなどでは、なんとかの一つ覚えみたいに必ず紹介されます。

CVP分析を理解しておかなければ、その先の話(業績予想や限界利益・管理可能コストの概念など)を議論できない、という事情もあります。
【関連ブログ】

ところが、このCVP分析が、「不適切な会計処理」へのインセンティブ(動機づけ)を強めます。

上記【資料2】にある損益分岐点P(または損益分岐点売上高)に注目します。
実際の売上高が、損益分岐点売上高を超えると、線分DCで表わされる利益(営業利益や当期純利益)は無限に拡大する、というのが、CVP分析から導かれる理論的な帰結です。

売上高を10兆円に伸ばせば、上記【資料2】にある線分DC(利益)はそれに応じて伸びていきます。
売上高を20兆円に伸ばせば、線分DC(利益)はそれに応じて伸びていきます。

上場企業の経営者は全員、予算達成目標をどれだけ高く設定しても、線分DC(利益)が縮小に転じる(減益になる)ことなど、まったく想定していないのです。
それを理論面で保証しているのが、上記【資料2】のCVP分析です。

ところが、現実には、予算達成目標を何とか達成しようとすると、価格競争に巻き込まれ、減益に襲われます。

そこで現場では、上記【資料2】の線分DC(利益)を、その教え通りに伸ばそうとして、「不適切な会計処理」に突き進む、というわけです。

以上が、「なぜ、不適切な会計処理が行なわれるのか」という理由です。


それに対して、「CVP分析という愚かな理論を、いつまでも信じているんじゃないよ」ということで、私が書き上げたのが次の「新日本法規財団 奨励賞 受賞論文」です。
【資料3】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF 32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳

国立国会図書館所蔵の論稿集は、こちら。
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF 12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

上記【資料3】の受賞論文に掲載している図表が、次の【資料4】です。
【資料4】タカダ式操業度分析(SCP分析)
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上記【資料4】で描かれている総費用曲線(総コスト曲線)は、複利関数で描かれています。

これは、「昨日稼いだキャッシュは今日へ再投資(複利運用)され、今日稼いだキャッシュは明日へ再投資(複利運用)される」という、私の実務経験に基づいています。

すなわち、企業活動は、日々連鎖する複利計算構造を内蔵しているのです。

それに対して、上記【資料2】のCVP分析は、単利計算構造に基づいています。


上記【資料4】の特徴は、点Dで表わされる最大操業度点近辺にあります。
最大操業度点は、経済学で有名な利潤最大化条件(限界収入=限界費用)を満たすところです。
したがって、上記【資料4】の線分GDは、企業活動における最大利益を表わします。
この線分GDを、「タカダライン」と呼びます。

実際売上高が、最大操業度売上高(最大操業度点から垂線を下ろしたところ)を超えると、タカダライン(線分GD)は縮小します。
すなわち、売上高が伸びても(増収)、利益は減少(減益)することを証明しているのが、上記【資料4】です。

単利計算構造のCVP分析では説明が不可能な増収減益を、複利計算構造のタカダ式操業度分析では説明が可能になります。
参考書籍としては、次のものがあります。


上記【資料4】では、予算達成目標の位置づけを高くすればするほど、右上方にある収益上限点Eに近づいていきます。
ここに至ると、「利益なき繁忙」または「豊作貧乏」に陥ります。

今回、東芝で問題となった案件は、右上方にある収益上限点を突き抜けてしまった可能性があります。

上場企業の経営者は全員、上記【資料2】のCVP分析を信じて疑いません。
上記【資料4】の右上方にある収益上限点を突き抜けてしまい、役員陣から問い詰められた現場は、「不適切な会計処理」に突き進むしかなくなる、というわけです。


複利計算構造の「タカダ式操業度分析」を用いれば、「不適切な会計処理」を根絶できるわけではありません。
会計は所詮、ヒトが行なうものですから、根絶できるわけがないのです。

大切なのは、企業活動の本質(単利計算構造なのか、複利計算構造なのか)を見極めて、それに対処することにあります。

予算達成目標の位置づけを高くすればするほど、上記【資料2】にある線分DCが無限に伸びる、と理解するCVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析・線型回帰分析)は「瑕疵ある理論」です。

瑕疵ある理論からは瑕疵ある実務解しか導かれず、それが「不適切な会計処理」へのインセンティブを強めます。

CVP分析が学界や実務界を支配し続ける限り、企業経営者は予算必達を現場に強要し、現場は「不適切な会計処理」へのインセンティブを強め、結局、企業経営者は「裸の王様」となって恥をかく。

CVP分析に基礎を置いた管理会計論や経営分析論が、学界や実務界を支配し続ける限り、東芝の問題は「対岸の火事」ではなく、他の上場企業へも「飛び火」する可能性があることを、予言しておきます。

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