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制作著作 高田 直芳 公認会計士 税理士
会計物理学&会計雑学講座 Accounting Physics & Accounting Trivia Copyright(C) TAKADA Naoyoshi & CPA FACTORY Co.,Ltd. All rights reserved.
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新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 『会計学と原価計算の革新を目指して』 (PDF 32枚) 執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳 |
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文 『管理会計と原価計算の革新を目指して』 (PDF 12枚) 執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳 |
パワーポイント資料は、こちら。 |
すべての上場企業で採用されている なんとかの一つ覚えの固変分解 〜 タカダ式操業度分析 vs. 古典派会計学 〜 従前ブログ『おすすめの経済学書籍』では、会計学の「なぜ」を知るためには経済学を学ぶことが重要だ、と述べ、そのための書籍を4冊、紹介しました。 会計学を補強するために、経済学を学ぶのは大切なのですが、あらゆる経済学書を読みあさっても、決して説明されない理論があります。 それは、総コストを、固定費と変動費とに分解する方法です。 経済学では、総コストを総費用と呼び、固定費と変動費をそれぞれ固定費用と可変費用と呼びます。 【資料1】 その経済学では驚くべきことに、総費用を、固定費用と可変費用とに分解する方法を一切説明することなく、その先の話(完全競争市場や独占的競争市場など)が進められます。 この問題については、従前ブログ『実務で役立たない固定費の分類』で、次の毎日新聞のコラムを引き合いにだしました。 【資料2】毎日新聞2014年9月27日 上記のコラムの表現を拝借するならば、「ここに、固定費と変動費とが分解されているとしよう」という調子で話が進められることになります。 実務で役立たないことを議論する人たちの顛末は、従前ブログ『会計学が経済学から見下されるこれだけの理由』に委ねるとして、以下では「固定費と変動費とに分解する方法」の話を進めることにしましょう。 固定費と変動費とに分解することを、略して「固変(こへん)分解」といい、主に次の【資料3】の種類があります。 【資料3】 上記【資料3】1.には、実査法や高低点法といったものもありますが、実務ではほとんど用いられないので省略します。 上記【資料3】2.の指数関数法と対数関数法については、下記【資料12】で、セブン-イレブン・ジャパンの決算データをもとに説明します。 上記【資料3】1.a.の勘定科目法または【資料3】1.b.の費用別精査法は、すべての上場企業で採用されている固変分解といっていいでしょう。 また、世に1千万本の会計ソフトがあるとするならば、その1千万本すべてに、勘定科目法または費目別精査法が搭載されているといっていいでしょう。 勘定科目法によって固定費と変動費とに分解する方法は、次の拙著164ページ〔図表120〕で紹介しています。 【資料4】 前掲書164ページ〔図表120〕では、68種類のコストを、固定費と変動費とに分解する方法を紹介しています。 ところで、会計学には、管理会計と財務会計という2つの分野があります。 管理会計で固変分解を行なって、固定費・変動費・限界利益(変動利益)などへと展開していく理論を、CVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析・線形回帰分析)といいます。 財務会計で固変分解を行なって、予定配賦率や標準配賦率としてくくり、予定原価計算・標準原価計算・直接原価計算へと展開していくのが、いわゆる原価計算制度です。 それを会計基準としてまとめたものが、企業会計審議会『原価計算基準』です。 原価計算実務では、【資料3】1.a.の勘定科目法ではなく、【資料3】1.b.の費目別精査法のほうが用いられます。 費目別精査法は、科目比率法や科目按分法(科目案分法)と呼ばれることがあります。 費目別精査法については、次の関連ブログを参照してください。 【資料5:関連ブログ】 勘定科目法や費目別精査法といった分類の相違があっても、その計算方法は、管理会計のCVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析・線型回帰分析)と同じです。 何が同じかというと、1次関数( \(\displaystyle y=ax+b \) )で表わされる、という点において。 この1次関数の式にある「 \(\displaystyle a \) 」は変動費率であり、「 \(\displaystyle b \) 」は固定費です。 すべての上場企業で採用されている固変分解も、1千万本のソフトに搭載されている固変分解も、1次関数( \(\displaystyle y=ax+b \) )に基づいている、という点では、まったく同じなのです。 「すべて」と言い切るからには、根拠があります。 上場企業が四半期ごとに公表する決算短信の、1ページ目の最下段にある業績予想が、その根拠です。 総コストを固定費と変動費とに分けなければ、営業利益・経常利益・当期純利益などの予想数値を計算することができないですから。 その業績予想を行なうために、上場企業のすべてで採用されているのが、1次関数のCVP分析です。 まさに「何とかの一つ覚え」。 また、上場企業で行なわれている原価計算実務は、予定原価・標準原価・基準原価といった名称の違いはあっても、そのすべてが1次関数の勘定科目法や費目別精査法に基づいています。 ここにも「何とかの一つ覚え」を見ることができます。 勘定科目法や費目別精査法には「理論上の瑕疵」があることを、本ブログや次の受賞論文で論証してきました。 【資料6】 上記の受賞論文に関連したブログとしては、次のものがあります。 【資料7:関連ブログ】 勘定科目法や費目別精査法の最大の弱点は、企業外部の者が、有価証券報告書などを用いて固変分解ができないこと。 上記【資料6】の受賞論文では、ドラッグストアの有価証券報告書を用いて勘定科目法を適用していますが、これは稀なケース。 そこで企業外部の者が、有価証券報告書などを用いて固変分解を行なう場合は、【資料3】1.c.の最小自乗法(最小2乗法)を採用することになります。 次の拙著132ページでは、表計算ソフトの SLOPE 関数と INTERCEPT 関数を用いた最小自乗法を紹介しています。 【資料8】 企業外部の者が取り組む固変分解の方法としては、最小自乗法も、これまた「何とかの一つ覚え」です。 最小自乗法の最大の弱点は、縦軸(Y軸)の固定費が、マイナスに転落するケースに、しばしば遭遇することです。 この問題については、【資料6】の受賞論文でも言及しましたし、次の関連ブログでも説明しました。 【資料9:関連ブログ】 最小自乗法では、なぜ、固定費がマイナスに転落するのか。 その原因は、やはり1次関数( \(\displaystyle y=ax+b \) )を採用しているからです。 1次関数とは、預金の利息計算でいえば、単利計算のこと。 ところが、現実の企業活動では、次の【資料10】に示す事実を観察することができます。 【資料10】 つまり、企業のコスト構造やミクロ・マクロの経済構造は、無限回数で連鎖する複利計算機構を内蔵していることがわかります。 上記【資料10】に基づいて描いたのが、次の【資料11】です。 【資料11】タカダ式操業度分析 上記【資料11】にある曲線ABCDEは、複利曲線で描かれています。 現代の会計学が説く1次関数( \(\displaystyle y=ax+b \) )とはまったく異なる世界観が、【資料11】にあります。 上記【資料11】を、セブン-イレブン・ジャパンに当てはめたのが、次の【資料12】上図です。 【資料12】タカダ式操業度分析/セブン-イレブン・ジャパン 現在の企業情報開示制度(ディスクロージャー制度)では、四半期報告書という名が示すように、年に4回しか財務諸表(決算書)が開示されません。 そのため、【資料12】では、4個の点だけをプロットしています。 私(高田直芳)以外の公認会計士やアナリストたちは、その4個の点を1次関数で結ぼうとします。 それに対して、私だけが「これは複利曲線で繋げることができるぞ」と見抜きました。 それをまとめたのが【資料6】の受賞論文です。 上記【資料12】上図は、指数関数で描いた複利曲線です。 指数関数の逆関数は「対数関数」であり、その対数関数で描いたのが、【資料12】下図になります。 上記【資料12】上図を「指数関数法による固変分解」といい、同下図を「対数関数法による固変分解」といいます。 上記【資料12】下図にプロットされた4個の点は、直線上に並んでいますが、その縦軸は「対数目盛」であることに注意してください。 指数関数と対数関数とは表裏一体ですから、【資料12】の上下にある、基準固定費、損益操業度売上高、予算操業度売上高、最大操業度売上高はすべて一致します。 指数曲線などの描きかた、そして基準固定費や予算操業度売上高などの金額の算出方法については、【資料6】の受賞論文で詳述しています。 上記【資料11】や【資料12】の図表を用いた分析方法について、かつてはSCP分析( Sales Cost and Profit Analysis )と称していました。 現在は、「タカダ式操業度分析」の名称で統一しています。 指数関数法や対数関数法は、私(高田直芳)のオリジナルです。 日本だけでなく、欧米にも存在しない固変分解の方法です。 指数関数法や対数関数法に基づいて固変分解を行なったり、業績予想を組み立てたりすることは、著作権侵害となります。 上場企業たるもの、コンプライアンス違反には、くれぐれもご注意を。 近年、人工知能AIが、会計や経理の世界を支配する、という意見が喧(かまびす)しい。 【資料13:関連ブログ】 しかしながら、人工知能AIがどれほど高度に発達しようとも、【資料12】に並ぶ4個の点から、そこに複利計算構造を見抜くことはできません。 少ない数のデータから、ものの本質を見抜くのは、人工知能AIでは不可能なのです。 上記【資料11】や【資料12】の指数曲線や対数曲線を描くにあたっては、「自然対数の底e」を用いて、微分積分を繰り返します。 その難解な構造を前に、「1次関数のCVP分析のほうが扱いやすい」と主張する人がいます。 簡単で単純な仕組みの会計など、いずれ人工知能AIに取って代わられることを覚悟したほうがいい。 1次関数のCVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析・線形回帰分析)や、これまた同じ1次関数の原価計算制度を語っている人たちは、いずれ人工知能AIによって駆逐されることでしょう。 淘汰されゆく運命にある「1次関数のCVP分析に立脚した管理会計」や、同じく「1次関数に立脚した財務会計(原価計算制度)」を、「古典派会計学」と呼ぶことにしよう。 【資料3】1.で例示した勘定科目法・費目別精査法・最小自乗法などを、「何とかの一つ覚えの固変分解」と呼ぶことにしよう。 人差し指を立てて古典派会計学を得意気に語る者たちよ、あなたがたは、高校生の頃に訓示を受けた「進取創造」の気概を忘れたか。 |
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