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新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』
(PDF 32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳

日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
(PDF 12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳

パワーポイント資料は、こちら。

zoom RSS 公認会計士高田直芳:人工知能AIに管理会計や経営分析を委ねると人間の生活が脅かされる

<<   作成日時 : 2016/06/18 01:00   >>

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人工知能AI に管理会計や経営分析を
委ねると人間の生活が脅かされる



以前のブログ『あなたは、人工知能AI に打ち克つ自信があるか』で、次のNHK番組を取り上げました。
【資料1】NHK2016年5月15日放送

この番組で、人工知能AI に関する面白いエピソードが紹介されていました。
【資料2】NHKスペシャル2016年5月15日『天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る』

例えば、ある企業が人工知能を開発し、「ペーパークリップの生産数を最大化せよ」と指示を与えたとする。
 すると人工知能は、地球のあらゆる資源を使ってでも、大量のペーパークリップを作ろうとする。
 資源は枯渇し、人間の生活が脅かされようとも、関心はない。
 人間の能力を超えた人工知能を止める術(すべ)もない。

 人工知能の本当の恐ろしさは、人間を敵視することではない。
 人間に関心がないことだ。


ペーパークリップは、細い針金をくるっと曲げた文房具であり、紙留めなどに使われます。


まず、人工知能AI に「ペーパークリップの生産数を最大化せよ」と指示を出す人間の、その指示に誤りがあることを指摘しておきます。

この場合は、次の【資料3】のように指示するのが正しい。
【資料3】
  1. ペーパークリップの生産で、経営資源が最も効率的に配分される生産数を目指せ。
  2. ペーパークリップの生産で、利潤が最大化される生産数を目指せ。

上記【資料3】が理解できない場合は、次の書籍の6ページや375ページを参照。
【資料4】

上記【資料4】378ページ〔図表13−1〕によれば、【資料3】2. の利潤には、機会費用(管理会計では「機会原価」といいます)が含まれているのですが、細かいことには拘らないことにします。

すなわち、【資料3】2. の利潤は、損益計算書の「当期純利益」と同じ意味で用いることにします。


ここからが本題。

人工知能AI は、なぜ、「地球のあらゆる資源を使ってでも、大量のペーパークリップを作ろうとする」のでしょうか。
その理由は、現代の管理会計・経営分析・原価計算などが、極めて愚かな理論によって構築されているからです。

まず、管理会計や経営分析の世界では、次の【資料5】の図表が必ず利用されます。
【資料5】CVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析・線型回帰分析)
画像

上記【資料5】の図表を利用した理論を、CVP分析といいます。
損益分岐点分析・限界利益分析・線形回帰分析とも呼ばれます。

なお、損益分岐点分析と限界利益分析とは、厳密には異なる分析手法なのですが、それは次の関連ブログで確認してください。
【関連ブログ】

さて、上記【資料5】の中空に浮かぶ点Pを「損益分岐点」といい、ここから垂線を下ろした点Fを「損益分岐点売上高」といいます。

実際の売上高が、横軸上の点Eにあるとき、線分ACに相当する「当期純利益」を確保することができます。


人間が、人工知能AI に対して、【資料3】2. の命令を与えたとしましょう。

この場合、人工知能AI は【資料2】で紹介したのと同様に、「地球のあらゆる資源を使ってでも、大量のペーパークリップを作ろう」とします。
なぜか。

理由は、【資料5】の横軸上の点Eを超えて実際の売上高を無限に増大させていくと、【資料5】の線分ACの「当期純利益」が無限に増大するからです。

「利潤(当期純利益)を最大化せよ」という命令を与えられた人工知能AI を、人間が止めることはできません。

すなわち、現代の管理会計や経営分析の世界に、人工知能AI を持ち込むことは、人類の破滅をもたらす、というわけです。


同様の理屈は、原価計算(コスト管理)の世界でも当てはまります。
次の【資料6】は、原価計算に関する書籍やシステムでは、必ず掲載(搭載)される図表です。
【資料6】公式法変動予算(シュラッター図)
画像

上記【資料6】を、「公式法変動予算」といいます(企業会計審議会『原価計算基準』四一(三)2参照)。
「シュラッター図」ともいいます。

上記【資料5】の線分OA(売上高線)を消去し、【資料6】で線分BD(固定費線)を描き加え、∠CBEを「配賦率」と定義したのが【資料6】です。
上記【資料6】の横軸上の「操業度」には、生産数量・販売数量・作業時間・機械稼動時間などを当てはめます。

上記【資料6】は、原価計算システムや管理会計システムと称するものの、すべてに搭載されています。
なにしろ、オカミ(企業会計審議会)のお墨付きがありますから。

他者(他社)と異なることに怯え、権威主義にへいこらへいこらする人たちが、オカミの指図に従わないわけがない。


上記【資料6】に基づいて、人間が、人工知能AI に対して、【資料3】1. の命令を与えたとしましょう。

この場合、人工知能AI は【資料2】で紹介したのと同様に、「地球のあらゆる資源を使ってでも、大量のペーパークリップを作ろう」とします。
その理由は、【資料5】のときと同じですから、改めて説明するまでもないでしょう。

現代の管理会計・経営分析・原価計算の理屈のままで、そのシステムを人工知能AI に委ねることは、人間社会を破滅させることになります。


もちろん、人工知能AI の暴走を抑止する理論があります。
それが次の【資料7】です。
【資料7】タカダ式操業度分析
画像

上記【資料7】のもとで、人工知能AI に【資料3】の 1. または 2. の命令を与えた場合、人工知能AI は、点Dの「最大操業度点」を目指します。

なぜなら、【資料7】にある線分GDが、利潤(当期純利益)を最大化させるからです。
この線分GDを、「タカダライン」と呼びます。


【資料7】の点Dから垂線を下ろした点Kは、利潤(当期純利益)を最大化させる売上高(最大操業度売上高)です。

もし、人工知能AI が、点K(最大操業度売上高)よりも生産数量を増やそうとした場合、利潤が減りますから、人工知能AI は生産数量を減らします。

上記【資料7】に基づいて、人工知能AI に命令を与えた場合、人工知能AI を抑止することができます。


実は、【資料7】に似た理屈が、経済学にも存在します。
例えば次の書籍199ページ〔図5−3〕では、右上がりの曲線が描かれています。
【資料8】
スティグリッツ ミクロ経済学
ジョセフ・E. スティグリッツ
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欧米の経済学書に限らず、日本の経済学者の経済学書でも、【資料7】に似た、右上がりの曲線が描かれています。

ただし、絶対に間違えてならないのは、彼ら経済学者は、その曲線を、2次関数または3次関数で描いていることです。
複利関数に基づく複利曲線ではないのです。

それは、次の【資料9】で確認できます。
【資料9】

ちなみに、【資料5】や【資料6】は、1次関数です。
1次関数とは単利計算構造のことであり、すなわち、現代の会計学(管理会計・経営分析・原価計算)は、単利計算構造で構築されていることがわかります。

それに対し、【資料7】で描かれている曲線 ABCDE は、「自然対数の底e」を用いた複利曲線です。
1次関数の会計学や、2次関数・3次関数の経済学とはまったく異なる世界です。

まさか「似たような右上がりの曲線」だからといって、複利運用された預金利息を、2次関数や3次関数で検算できる、と考える人はいないでしょう。


企業のコスト構造を、複利計算構造で解き明かそうとする理論は、次の【資料10】の書籍が嚆矢となります。
【資料10】

数学的にもう少し厳密な証明を試みたのが、次の【資料11】の書籍です。
【資料11】

「企業のコスト構造は、日々複利の計算構造を内蔵する」という理論を、原価計算の世界に当てはめたのが、次の【資料12】です。
【資料12】

上記【資料10】から【資料12】までの書籍を学術論文にまとめ、受賞の栄誉を受けたのが、次の【資料13】です。
【資料13】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF 32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳

国立国会図書館所蔵の論稿集は、こちら。
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF 12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

上記【資料10】の初版は、2008年11月です。
それ以前に、企業のコスト構造を、複利曲線で描いた書籍や学術論文は、日本や欧米のどこを探しても、1冊も1本も存在しません。

ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授でさえ、2013年に出版した『ミクロ経済学 第4版』は、3次関数どまりです。


上記【資料7】の図表や、【資料10】から【資料13】までの書籍および論文の基礎となるのは、私(高田直芳)が、企業実務の最前線で、次の事実に気づいたことに端を発します。
【資料14】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。

つまり、企業のコスト構造の本質は、複利計算構造にあることがわかります。
失礼ながら、象牙の塔の中で安穏の暮らす人たちに、【資料14】は理解できません。


さぁて、人工知能AI よ、【資料5】や【資料6】が跳梁跋扈する現代の会計学(管理会計・経営分析・原価計算)の世界に、キミたちをのさばらせては、人間の生活が破滅してしまう。

上記【資料7】は 【資料10】の書籍で2008年に著作権が成立しているので、著作権法51条2項が定める保護期間が経過するまで、人工知能AI が活躍する場はないと思いなさい。
コンプライアンス(法令遵守)違反を行なえば、その人工知能AI は一発退場だからね。

21世紀の会計学(管理会計・経営分析・原価計算)は、人工知能AI にとって、無為の時間を過ごすだけになるでしょう。

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